1.天目とは 現在、天目の名は一般的に黒釉のかかった陶磁器の総称として使われています。 しかし、元来は今からおよそ千年前、中国宋代に生まれた陶磁器の呼称でした。 そもそも天目は鎌倉時代の禅僧らが宋に渡り修業し、その時に持ち帰ったのが渡来の始めであったことは有名です。彼らが学んだ禅源寺などの名刹を擁する天目山がその名の由来であるといわれています。 一方「天目形(なり)」といわれるように、天目茶碗独特の形状をさすこともあります。 すなわちすり鉢状、少しすぼんだ口縁、小さめの高台といった特色で、このよな形であれば黒釉でなくとも天目と呼ばれることもあります。 |
||
2.油滴天目について 天目の中でも、際立って難しいものが油滴天目です。これは他の作陶技術と異なり、その技法が全く確立されていません。 天目釉といわれる黒釉は、長石に木灰をまぜ、発色剤として鉄錆を加えるということくらいで、千年もたっているのに技術的に全く未開発の状態なのです。 それだけに現在わずかに残されている名品には一体どうやってこの作品が作られたのだろうという底なしの謎が秘められています。 これは概ね製法が確立されている他の陶磁器を見たときには感じられないもので、それがこの陶器の魅力です。 |
||
「裕彩」のこと 「裕彩」
|